香瑛住研の「ブリックス」は、完成したその日からそこに既に何十年も建っていたような風合いを持っていることでご好評いただいています。
その風合いを演出してくれる大切な部材の一つであるタイルを香瑛住研の希望に合わせて製造してくれる窯元さんと個別契約しています。この窯元さんの製造するタイルはせっ器質タイルです。せっ器質タイルの特徴は、原材料の土の色・焼色・味わいをそのまま生かした製品です。
大量生産のタイルの製造は型押し成形したタイルをずらっと並べ、煎餅のように窯に送り出して焼く方法が取られています。この方法は効率重視。より多くのタイルを早く製造することが目的です。そのため製造されるタイルは、全て同じ型で成形されているため、出てくる凹凸が同一になってしまいます。いわば、それぞれのタイルはクローンと考えることが出来ます。製品としては均一に整っていますが、風合いはありません。
そのタイルを注文住宅に施工した場合、一見色合いはそこそこに見えるのですが、どこか足りない、何か違うという感覚を持ちます。大量生産ゆえ、全てのタイルが同じ顔を持っているために、”整いすぎた不自然さ”を持っていることが原因です。
生き生きと、また人の目に優しい美しさを持った風合いは、整いすぎた大量生産のタイルではどうしても出すことが出来ないのです。丁度、SF映画でロボットが整列しているシーンと、様々な個性を持った人間が並んでいる場面を思い浮かべていただけばイメージしていただけることでしょう。
私たちはその風合いを出せるタイル製造会社を探し続け、ようやく見つけ出すことができました。現在は、特注のオリジナル設計タイルを出荷していただいています。
以下の画像は、写真をクリックしていただくと拡大出来ます。(別ウィンドウが開きます)
当社の契約窯元さんでは、2種類の工場が稼働しています。オートメーション化された最新鋭の工場。
そして、手作業が基本の伝統的な工場。伝統的な工場では、21年前に作られた窯が現在でも稼働しており、
「この時代にこんな手の込んだ作業をしているの!!??」
と声を上げたくなるほど手間をかけて、独特の風合い追い求めています。だからこそ、美術館や公共の文化施設建設等、格式と美しさが要求される機会に全国から声がかかってくるのでしょう。
例えば、香瑛住研で使用している「ハツリ」と呼ばれるタイルの製造工程はこんな具合。
厳選された原料土と、発色させる粉状の金属酸化物(ちなみにタイルの発色は含まれる金属の種類と土と燃焼の度合いで調節される)等を正確に量り、機械を使って丹念に練り合わせます。(右写真)
水を16%含んだ柔らかく練り込まれた土を、型を使ってヨウカン状に押し出し成形します。押しだされたヨウカンをタイルの完成サイズより10%程長めに切り、崩れないように並べ乾燥します。タイルの完成長さより長めにするのは、焼けたときの収縮を考え、焼き終わった時点で規格通りの正しいサイズになるようにするためです。
この状態では、タイルの裏が表に出ている形になっています。理由は次の工程で分かります。
「ハツリ」を作るには、まだ窯に入れることは出来ません。これから手作業で1枚1枚を割っていく作業があります。もちろん柔らかいままでは割れませんから、数日乾燥させる必要があります。乾燥させて硬くなったものを、左右から薄い鉄の爪でドンと突きます。通常は左右1枚ずつの幅広の爪ですが、ハツリの場合は狭い幅の3つの爪、合計6本を使って、より不規則な割れ跡を作り出します。
このように、乾燥したタイルの中間を割る作業が入るため、タイルの裏面が表に出ている形にしてあるのです。硬いものを割るという作業はヨウカンを切るように真っすぐにはいきません。そのおかげで1枚たりとも同じ顔を持つタイルはありません。程よい不規則さが自然な美しさを作るのです。
程よく不規則に割れたタイルを窯に入れるため、さらに乾燥し、焼成台車に積み重ねていきます。そうして重ねられたタイルは、ようやく窯へと向かいます。
タイルを焼く窯は長さ82mもあり、入り口から入った生のタイルが出口から出てくるのは何と36時間後。一日半もの間、目に見えない程の速度で窯の中を1300度の高温で還元焼成されながら進んで行きます。写真からも分かりますが、窯の中ではタイルも窯の内壁も、赤というよりむしろ白熱した状態です。その様子はまるで溶岩を見ているようです。いかに窯の中が高温か分かります。
36時間後、ようやく窯から出てきたタイルは、人の手と目で品質チェックを受け、濃淡の色味ごとに整理され梱包。香瑛住研に届き、お客様の家に施工されます。
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